『イン・ザ・ハイツ』 レポ [観劇レポ]

シアターコクーンで上演中の『イン・ザ・ハイツ』を観て来ました。

ブロードウェイでオリジナルキャストを観てからずっと大好きな作品だったので日本人キャストで上演すると聞いてから観るのを楽しみにしていました。

改めて観て感じたのは国境を超えるストーリーの普遍さと様々なタイプの音楽を取り入れ観ている人の心を掴むユニークな音楽の力強さです、観終わった後にCDが欲しくなった人も多いのでは?

ヒップホップの楽曲に日本語の歌詞をミュージカルとして成立する様に乗せるチャレンジに挑み、やってのけたKREVAさんに拍手と感謝を送りたいです、また同時にヒップホップのリリックとしての心地良さとストーリーテリングを両立させる難しさを感じました、ハマった時の加速度的に高まる高揚感と音楽の魅力・訴えてくるパワーに対しハマり切らなかった時の言葉の届きにくさは諸刃の剣だと感じました。

キャストのダンススキルの高さが凄くて多々ある群舞シーンではラテンのパワーに満ちていてバランスで言うとオリジナルプロダクションよりもダンスによるストーリーテリングに力が入っている様に感じました、なので最初は違和感があったPiragua Guyに若い植原卓也さんを起用したのも「そう言うことか!!」と納得です。

ダンスによるキャラクタライズも巧みで、例えばベニーの動きのブラックさを際立たせる事によって彼だけが物語の中でアフリカンアメリカンだと言う輪郭がハッキリしさらに音楽でも彼の曲はブラックなノリで作られているので日本人キャストでも人種の違いをストレス無く物語の中で受け取る事が出来ていると思います、またもちろんそれは体現出来ている松下さんの力の賜物です。

MicroさんはLin Manuel Mirandaが作ったウスナビの一生懸命で少し不器用そうな部分をより明確にした印象で日本人ならではのウスナビを演じていました、また予想外にキレキレで表現力のあるダンスにビックリしました。

気になったのは衣装で、日本人キャストがワシントンハイツの人々を演じヒップホップ色のあるミュージカルと言う事でそれを意識したアイテムと強い色を多く使った衣装でワシントンハイツの雰囲気を醸し出そうという意図はわかるのですが、この作品は特別な人々では無くワシントンハイツに住む普通の人々の物語だと思うので少し現実離れした様に見えて物語とのギャップを感じました。

震災以降の日本と一度は打ちのめされながらも歌い踊り立ち上がり"HOME"を胸に暮らすワシントンハイツの人々が重なり今の日本でやる意味があったし、さらに確かに日本のミュージカルに新たな1ぺージを刻み可能性を広げた公演だったと思います。
オリジナルキャストの中から新しいスターが出てきた様にこの日本人キャストからも新しいミュージカルスターが出る様な熱さと勢いを感じるカンパニーでした。


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