『The Bridges of Madison County』 レポ [観劇レポ]

Schoenfeld Theatreで上演中のミュージカル『The Bridges of Madison County』を観て来ました

この作品はClint EastwoodとMeryl Streep主演で映画化もされた1992年にベストセラーとなったJames Wallerの同名小説が原作のミュージカルで、写真家のロバートと夫と子供がありながらもロバートと恋に落ちてしまったフランチェスカの4日間の出来事とその4日間を胸に秘めたその後をも描いた作品です。

まず、劇場に入って目に入るのは椅子が点々と置かれ、公衆電話が付いた電柱と青々と茂った木が一本づつ、さらに舞台を二つに分けるように斜めに轢かれたフローリングが印象的なシンプルなセットです。
この舞台上でキャスト自ら小道具やセットを自然な流れで移動させシーンをシームレスにスムーズに展開するステージングが見事でした。

また、この作品はDonald Holderによるライティングが微細で情感たっぷりで、過去と現在の時間軸・時間の経過・心の距離などを巧みに演出していました、特にフランチェスカにロバートが橋で写真を通して語りかける"The World Inside a Frame"のシーンでは夕暮れの日の傾きを巧みに表現していて曲と合間ってとても美しいシーンになっていました。

Bartlett Sherの登場人物の立ち位置や斜めに轢かれた様々な境界線の意味を持つラインの使い方、シーン毎に登場人物の心の動きを演出する電話の使い方や朗読劇の様に出番ではない俳優が舞台上に置かれた椅子に座って舞台を見つめる事で観客にも違う視点からの物語を感じさせる等の細かく思わず唸る演出も素晴らしかったです。

Jason Robert Brownの楽曲はピアノとアコースティックギターの音色が印象的な美しい曲ばかりで、さらに舞台になった土地の空気を感じさせる楽曲作りは流石の一言です、しかし自分は気に入りましたが新しく大胆な構成の『Jasonさん攻めたなー』って言う曲が多いので万人にウケるかは?です。

キャストではSteven Pasqualeは色気のある佇まい、情感たっぷりで確かな歌声・演技でとても魅力的なロバートを演じていました、特にフランチェスカに「一緒について来てくれ」と歌う”Before and After you/One Second & a Million Miles”や”It All FAdes Away” は必聴で朗々としたスケールの大きい歌声を聴かせてくれて鳥肌ものでした。
Kelly O'Halaは豊かなソプラノで見事にJason Robert Brownの楽曲を歌い切ってくれましたが彼女のソプラノはクラシックにより過ぎていて少し無機質な印象でストーリーを語る上でプラスになったかは疑問です。
さらに1番問題だと感じたのは彼女の仕草や佇まいから色気があまり感じられなかった事です、これがあるかないかではこの作品は大きく説得力が変わってくるので他にもっと適役な人が居ただろうと思ってしまいました。

またこの作品はほぼほぼごく限られた場所でのフランチェスカとロバートの儚い愛を描いた作品なので、場所も登場人物もあまり動きがなく、あの劇場の規模にしては場所の動きも登場人物の動きも心の動きも小さくまとまり過ぎだと思います、さらに言うと4日間の2人の心の湧き上がりとその最高の4日間がその後の人生までもある種呪いの様に心の中に留まり続けると言う事がこの作品の肝でその部分はミュージカル的に盛り上がるのですが、それに向けた物語の他の部分がやや大人し過ぎる感があり原作がミュージカル向きではない印象です。

確かに綺麗にまとまっていて全体的なクオリティは高いのですが舞台からも客席からも熱をあまり感じられなかったのが心配です、トニー賞まで公演が続くかな?って気もします。
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