『Kinky Boots』レポ [観劇レポ]

Al Hirschfeld Theatre で上演中のトニー賞ミュージカル作品賞受賞作品『Kinky Boots』を観て来ました。

2005年にイギリスで公開された同名映画が原作であらすじはイギリスの田舎町ノーザンプトンにある倒産寸前の靴工場Price&Sonが、 ドラッグクイーン御用達のキンキーブーツ (いわゆる女王様ブーツ)を作ることで再起を狙うというW.J. Brookes Ltdと言う実際の会社の実話に基づいた作品です。

ブロードウェイミュージカルらしい作品でウケるのもわかるし楽しくてロングランしてるのも納得の作品だけど個人的にはちょっとノレませんでした。

これは観る人によって好き嫌いは別れると思いますが良く言えばわかりやすいキャラクターの立った登場人物ばかり、けど個人的には登場人物がちょっとステレオタイプにキャラクタナイズされ過ぎていて感情移入できませんでした、特にこの作品の脚本が『La Cage aux Folles』でゲイのカップルを豊かな表現で描いたHarvey Fiersteinなのでどうしちゃったんだろうって感じです。

演出は新しさが感じられず本当にこれは去年オープンした作品か?と思ってしまいました、良く言えばわかりやすいフリとオチがちゃんと用意されてる演出、しかし個人的にはローラのテーマが流れたらローラが出てきたり、歌詞で写真撮影の事を歌ってたらフラッシュがたかれたり、ボクシングシーンが全編スローモーションだったり等と直感的過ぎて描き方に考えさせたり想像させる余白が全くなくて思考を停止させる演出で少しやり過ぎだと感じました。

キャストではこの作品でトニー賞最優秀ミュージカル主演男優賞を受賞したドラァグクイーンのLola役のBilly Porterの歌はゴスペルのバックグラウンドがあってR&B歌手としてデビューしたキャラクターのある歌声で流石のひと言ですが演技はシーンごとにコメディの顔・悲しい時の顔等パターン化されてる様に見えてロングランを経て少しマンネリ化してる部分もあるのかな?と思います、まだ彼を観たいというのもわかりますがそろそろ新しい血をショーに迎えても良いタイミングなのかもしれません。

オリジナルキャストのStark SandsからCharlie Price役を引き継いだAndy Kelsoは様々な顔や細かなセリフ回しで良い演技をしていましたが歌はハイトーンにちょっと苦労してる所もありました、しかし”Soul of a Man”ではCharlieの感情をパワフルにダイレクトに歌い切ってくれるのでグッとくる事しきりです。

Lauren役のJeanna de Waalはとてもチャーミングなコメディエンヌで"The History of Wrong Guys"のシーンは振り切った演技と工場にあるベルトコンベアやエアー機を上手く使った演出で楽しいし可愛らしいシーンになっていました。

シンディー・ローパーが作詞作曲を担当した楽曲はキャッチーなポップロックで耳に残るノリやすい曲ばかりでこの作品にピッタリだと思いました、数々のノリの良い楽曲の中にもLolaとCharlieがお互いの父親の願った息子の姿と自分とのギャップや想いを歌う"I'm Not My Father's Son" やLolaが老人ホームにいる父親の前で歌う"Hold Me in Your Heart"など切ない名曲もあり聴き応えもバッチリです。

色々マイナスな事も書きましたがラストのファッションショーから"Raise You Up/Just Be" の流れは今までのいまいちノレなかった事をぶっ飛ばしてくれるほど楽しくミュージカルを観てる喜びを感じさせてくれるパワーのあるフィナーレに相応しいシーンでした、Jerry Mitchellの演出に合う人はめちゃくちゃ楽しいミュージカル体験が出来る作品だと思うので実際に観て確かめてもらうのが良いと思います。



nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。