映画『スーサイド・ショップ』 レポ [映画レポ]

パトリス・ルコント監督の初アニメーション作品『スーサイド・ショップ』をヒューマントラストシネマ有楽町で3Dで観て来ました、3Dで観ると仕掛けたっぷりの映像が楽しく、独特な絵も合間って飛び出す絵本の様な質感でした。

これは好き嫌いが結構別れる作品じゃないかな?と思いました(自分はどっちかと言うと好きです)。

原作はジャン・トゥーレの小説「ようこそ、自殺用品専門店へ」でどんよりとした雰囲気が漂い、人々が生きる意欲を持てずにいる大都市。その片隅で、首つりロープ、腹切りセット、毒リンゴといった、自殺するのに便利なアイテムを販売する自殺用品専門店を開いているトゥヴァシュ一家。そんな商売をしているせいか、父ミシマ、母ルクレス、長女マリリン、長男ヴァンサンと、家族の誰もが一度たりともほほ笑んだことがなかった。人生を楽しもうとしない彼らだったが、無邪気な赤ちゃんが生まれたことで家庭内の雰囲気が少しずつ変わり始め……っというかなりブラックなストーリーです。
そう言った独特な世界観のファンタジーだけど現実をデフォルメした世界なので最初に登場する鳩がどんどん自殺していく人や暗い世界を観るうちに自分も落ち込んでいく描写やミシマや奥さんが自分達の商売に悩み苦悩するシーンのシュールレアリズムの絵の様な描写が説得力を持っていました。
またそう言う暗い世界でも登場人物が自殺した実在の人物の名前が元になっていたりお父さんのミシマは三島由紀夫、娘のマリリンはマリリン・モンロー等細かい所までブラックユーモアが行き届いていて面白かったですし、ブサカワの絵にミュージカルシーンが沢山あるので暗い陰鬱な雰囲気を和ませてくれて観やすくしてくれていたと思います。

予告編を観てミュージカルにしたら良さそうだなと思っていたら前述の様にミュージカルシーン満載でその上フランスで劇評で『「演技に哀感 歌に喜び」「生きる喜び」をうたいあげるミュージカルだ。生きづらさを抱えた人々の描写には、ルコントらしい哀愁がある。対照的に、ミュージカルシーンは突き抜けた明るさだ』とあったようにアランが友達とバスや街中で歌うシーンや生きる事の大切さ人生の中で幸せを探す大切さを歌うラストシーンはミュージカルとして辛く苦しい時にこそ歌うと言う純粋なミュージカルシーンとしてとても魅力的でした。

ここまで書いて来て絵は独特で飛び出す絵本の様な質感で楽しく、ブラックユーモアを交えて命の大切­さを描く作風も素晴らしかったんですが一つこれはどうなの?と思った所は暗い陰鬱とした世界でも生きる事の大切さ人生の中で幸せを探す大切さを歌うラストシーンが始まる直前に訪ねて来たお客になぜ青酸カリ入りのクレープを売ったのか?という所です、売った理由を悲しい時を思い出させてくれたからって言ってたけど、なら最後の曲を売る前に聴かせて生きる事の大切さを訴えるべきじゃないのか?と思ってしまいました。
あと上映時間が72分ぐらいだけど、もうちょっと友達達とおじさんの明るい理由とかお兄ちゃんの考えが変わる所とかを描いても良かったのかな?と思いました、けど作品のメッセージをシンプルに伝えるには充分だったとも思います。

かなり変わった作品なので一度観に行ってその世界観を体感してみるのも面白いと思うので、劇場で出来れば3Dで観てみて欲しいと思います。

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