映画『風立ちぬ』 レポ [映画レポ]

宮崎駿監督作品『風立ちぬ』観て来ました。
個人的にはとっても心に染みるとっても良い映画でした、自分の好きなジブリが戻ってきたって感じです。


本当に素晴らしい映画でぜひ観てもらいたいので、なんとか映画のネタバレにならないように書きたいです。

関東大震災・大恐慌・病気、様々な事が起こって生きるのが辛い厳しい1920年代、さらに戦争に突入していってしまうと言う時代の中で主人公の堀越次郎の夢と奥さんの菜穂子が辿る結末を通して、堀辰雄がポール・ヴァレリーの詩の一節を訳した“風立ちぬ、いざ生きめやも”がじわっと、けど強く心に残る作品でした。観た後は『生きねば』と思うはずです。

主人公の次郎の声をエヴァンゲリオンの庵野秀明監督が起用されて話題になって賛否両論があるようですけど、自分は庵野さんが次郎で良かったと思います。次郎みたいなインテリでどこかオタク気質な人は少しぎこちなくちょっと堅いけど誠実さが滲み出てるあんな風な話し方が合ってると思います、またあの声で話してるからこそ菜穂子の為に話す言葉・する行動にグッと来るシーンが幾度とありました。

何と言っても絵の素晴らしさに圧倒されます、関東大震災の時の起こった瞬間やうねる線路・家、火事で燃えている街の風景や逃げる大勢の人の蠢く様子の恐ろしい迫力、次郎の夢の中で最初に飛ぶシーンやカプロー二と大きな飛行機に乗るシーンのさわやかで美しい風景等挙げたら切りがないほど全編絵に力がありました(個人的には次郎が最初の飛行機の残骸の前に立っている姿に泣いてしまいました)。
さらに色の使い方での演出もさすがのジブリ色です、映画での色が表す「予感」「心の動き」「登場人物の人柄」がぐんぐん入って来ました。
特に凄かったのが菜穂子が結婚する時に廊下を歩くシーンの色と光の変化でこのシーンは本当に感動的でした。

あと効果音が人間の声(オノマトペ)で表現されていたのが素晴らしかったです、もちろん普通の効果音も使われていてその使い分けによってその場面が次郎や他の登場人物にとってどのような場面なのかが感じられました。
例えば飛行機の音は人間の声で表現されていて、この物語で重要な夢と現実がリンクする効果があったと思います。他の自動車や汽車の音は普通の効果音なのに飛行機だけは人間の声で表現されていて、次郎にとって美しい飛行機を作ると言う夢が現実の中にあって、しかも飛んでいるという現実と夢が同居した時間だからこそ現実にはない人間の声で作られた飛行機の音がそう言った雰囲気を作り上げていました。
あと久石譲の東京藝術劇場のホールで録音された奥行きのある響きの音楽は素晴らしく美しく映画を演出してくれていて感動を膨らましてくれるくれました、これは映画館で聴いてみて欲しいです。

ストーリーテリングやドイツでの会話などに批判的な感想も見受けられましたが個人的にはちゃんと腑に落ちる様に表現されていたと思います、ただ映画を能動的に観れないと難しい所もあるのかなとも思います。

これ以上書くとネタバレになってしまいそうだし映画館に観に行って確かめて来て欲しいので終わりにします、オススメです。

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