映画『リンカーン』 レポ [映画レポ]

スティーブン・スピルバーグ作品『リンカーン』観て来ました。
とても見応えのある映画で、主演のダニエル・デイ=ルイスのダニエル・デイ=ルイスからリンカーンそのものになってしまった様な演技に大感動です(トミー・リー・ジョーンズもさすがでした)。

リンカーンと言えば1863年のゲティスバーグでの演説「人民の人民による人民のための政治」だったり「奴隷解放宣言」が有名ですけど、この映画の中ではそれらはほとんど描かれずアメリカの「合衆国憲法修正第13条」を下院議会で通すっていう事だけを150分描いた映画になっています。
「合衆国憲法修正第13条」は奴隷制度を憲法で禁止する為のものでそれを通すには議会の3分の2の賛成票が必要になるんですけど、リンカーンの共和党だけでは票が足りないのでどうにかして奴隷制度にも賛成だし、南軍との戦争には反対の民主党からあと20数票を手に入れる為に裏で工作したり交渉したりするのを描いているんですけど、その駆け引きだったり、戦争の終結と奴隷解放の天秤に苦悩するリンカーンや周りの人々のドラマが本当に面白かったです。

リンカーンが奴隷の人達の本当の自由の為にどれだけ心を削って体を削って修正案を通そうとしていたのかと言う姿がかっこ良かったです。
日頃はあまり声を荒げずに落ち着いて昔の逸話をもちだして説得をしたり、ジョークを言って会話を円滑に進めようと政治をしている冷静なリンカーンの裏には息子の死や南北戦争で失われた命に心を痛めている様子等があって、それでも自由・平和の為に未来を見据えて動いている姿に心動かされました。
そんなリンカーンのセリフで目の前のことしか見ずに文句や不満を言う議員に向かって「今ここで開放すれば、まだ生まれていない奴隷の子孫達、それこそ何千何万という子孫が、永遠に続く何百年と続く子孫達も開放されるんだ!」「だから、絶体に、これをやらなければならない!」「そのためだったらどんなことでもする!」って声を荒げて言うシーンが本当に素晴らしかったです。
またトミー・リー・ジョーンズ演じるサディアス・スティーブンスの奴隷解放に対する想いの強さの理由がわかるシーンや政治家としての行動が試されるシーンも心が熱くなる名シーンだと思います。

スピルバーグの容赦ない戦争・暴力描写がこの映画だとより平和の素晴らしさを強調する演出になっていて、さすがスピルバーグでした。
あとジョン・ウィリアムズの音楽が今回もとても印象的で耳に残ってサントラが欲しくなってしまいました。

情報量が多い映画なのでこの映画を見る前に当時のアメリカの価値観や南北戦争の構図やアメリカにとってのキリスト教がどういう物だったのかを予習しておくとより深く楽しめると思います、オススメです。

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